慢性硬膜下血腫とは
普通、頭をぶつけてから3週間以上を経て、ゆっくりと硬膜下に血液が貯留してくる病気(外傷:ケガ)です。
原因は外傷(ケガ)と考えられていますが、約2割の症例では頭をぶつけなくても発症しており、外傷以外の原因も考えられています。
主として高齢者の病気です。ご年齢の変化による脳萎縮のため、硬膜と脳の間にスペースが生じることが “発症の素地” となります。この状態に、頭をぶつける、アルコールを飲む、血をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲む、などが重なって発生すると考えられています。
慢性硬膜下血腫の構造
慢性硬膜下血腫は、「コンタクトレンズ型の水風船」のような構造をしています。目に入れるコンタクトレンズのような形状で、水風船のように膜の中に液体(血液)が溜まっているような構造をしています。
どのようにして、このような構造が形成されるのか?また、どのようにして増大して行くのか? などの詳細なメカニズムは不明ですが、概略は下記のように血腫の膜が形成され、増大すると考えられています。
慢性硬膜下血腫の症状
手足の動きが悪い(運動麻痺)、言葉が話しにくい(失語、構音障害)、ぼーっとしている(意識障害)、頭が痛い、などの症状が出現し、数日で進行することが多いです。失禁や物忘れなど、認知症のような症状が目立つこともあります。
慢性硬膜下血腫の治療
症状が出た場合、原則、手術を行います。穿頭洗浄ドレナージ術と言います。
局所麻酔で行うことが多く、約30分ほどの手術です。
術後の経過
慢性硬膜下血腫による症状は、手術にてほとんど改善させることができます。
稀に発見が遅れたり、医療機関への受診が遅れることで、十分に改善を得ることができない場合もあります。
手足の運動麻痺や言語障害、認知症のような症状が出現した場合、できるだけ早期に医療機関を受診されることをお勧めします。